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綜説
OBESITY HEART DISEASE—極度の肥満に合併する右心疾患の病態生理について
OBESITY HEART DISEASE
横山 哲朗
1
Tetsuro Yokoyama
1
1慶応義塾大学医学部内科学教室
1School of Medicine, Keio University, Department of Internal Medicine, Cardiopulmonary Laboratory.
pp.444-453
発行日 1959年5月15日
Published Date 1959/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200763
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1.はじめに
肥満者が息切れ,心悸亢進を訴え,あるいは浮腫を伴なうことは珍らしいことではなく,また肥満に合併する心疾患についての記載がなされたのは古く,19世紀の初期のことである。
Pratt(1904)によれば肥満者にみられる心疾患fatty heartについてHarvey(1847)が肥満者の剖検所見をはじめて報告したという。しかしそれより前にCheyne(1818)が心臓の脂質変性fatty degenerationについて注目すべき報告をしている。それというのは彼により心臓の脂質変性fatty metamorphosisについて注意深い記載がなされた上に,とくに興味深いことには,その症例について今日Cheyne-Stokes換気として知られている奇異な換気に関する臨床所見がはじめて記載されたことである。このことはこれから述べようとするPickwickian syndromeとも呼ばれるいわゆるobesity heart diseaseと関連して非常に歴史的な報告であると云うことが出来る。そして彼がこのCheyne-Stokesの換気が脂肪心fatty heartに関連があることを見抜いていたことは非常な達見であり,後にSmithら(1933)がCheyneの記したこの奇異な換気が脂肪心のためではなくして動脈硬化,冠硬化,あるいは高血圧のためではなかつたのかと考えたのも当時としては無理からぬことであつたろう。
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