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Key Questions
Q1:精神障害者の就労支援にMTDLPを活用する利点とは?
Q2:精神障害者にMTDLPを実施する際の工夫点とは?
Q3:MTDLPを用いた就労支援の効果とは?
はじめに
精神障害者が身体・知的障害者と同じく「障害者雇用義務」の対象に加えられたのは2018年(平成30年)のことである.以降,精神障害者の就労支援のニーズは増加の一途をたどっている.
精神障害者の就労支援は,公共職業安定所(ハローワーク)との連携のもとに,さまざまな機関で実施される(図 1).特筆すべき点は,2021年(令和3年)に就労移行支援事業のOT配置に加算が制定されたことである.この背景には「OTが配置された就労移行支援事業所は,配置されていない事業所に比べて障害者の就労率が約2倍以上で,就労継続者も多い」1)と報告されたことが影響している.つまり,OTによる就労支援に期待が寄せられていると言っても過言ではない.
一方で精神障害者は一般就労率が低い2)ことや,就労後の離職率が高い3)ことが知られている.たとえば,雇用主から,「症状が悪化して突然退職してしまう」,「何度説明しても業務遂行できない」,「同僚と良好な人間関係が築けない」等の相談を受けることがある.精神障害者に対する調査では,「業務遂行のための支援不足」,「疾患や障害への理解不足」「人間関係における対応のしづらさ」等が離職の要因になった4)と報告されている.精神障害者の障害構造が可視化しづらいことは,就労や復職の障壁になるようである.
そこでOTの臨床思考を可視化した生活行為向上マネジメント(Management Tool for Daily Life Performance:MTDLP)を就労支援に用いることは有益と考える.シートに評価結果を記載することで障害構造を可視化でき,関係者に必要なサポートを提示できるからである.本稿では,精神障害者の就労支援におけるMTDLP活用の実例と効果を紹介したい.
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