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精神科作業療法とスポーツ
1.スポーツ施策
1964年(昭和39年)の東京オリンピックを前に,1961年(昭和36年)にスポーツ振興法が制定された.目的(第1条)は,“国民の心身の健全な発達と明るく豊かな国民生活の形成に寄与すること”,スポーツの定義(第2条)は,“運動競技及び身体運動(キャンプ活動その他の野外活動を含む.)であつて,心身の健全な発達を図るためにされるもの”であった.ちょうど,OTが誕生〔1965年(昭和40年),理学療法士及び作業療法士法〕したころであり,精神科作業療法では,すでに卓球,バレーボール,ソフトボール等が行われていた時代である.2011年(平成23年)には,スポーツ振興法が全面的に見直され,スポーツ基本法が制定された.スポーツの基本理念として“幸福で豊かな生活を営むことが人々の権利であることに鑑み,国民が生涯にわたりあらゆる機会とあらゆる場所において,自主的かつ自律的にその適性及び健康状態に応じて行うことができるようにする”とし,さらに“障害者が自主的かつ積極的にスポーツを行うことができるよう,障害の種類及び程度に応じ必要な配慮をしつつ推進されなければならない”と,障害者スポーツについても規定された.
また,スポーツの定義については,スポーツ基本法では“心身の健全な発達,健康及び体力の保持増進,精神的な充足感の獲得,自律心その他の精神の涵(かん)養等のために個人又は集団で行われる運動競技その他の身体活動であり,今日,国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む上で不可欠のもの”と定義づけしていて,世界大百科事典(第2版)では“スポーツとは,競争を中心とする〈近代スポーツ〉,楽しさを中心とする〈ニュー・スポーツ〉,民族的なアイデンティティや儀礼を中心とする〈民族スポーツ〉,癒しや瞑想を中心とする〈瞑想系身体技法〉,健康を志向する〈体操・ダンス〉,自然との接点を求める〈野外スポーツ〉などの総称である”としている.
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