増刊号 精神科作業療法
第3章 疾患別の作業療法
6 PDDの疾病概念とその支援
岩﨑 清隆
1
Kiyotaka Iwasaki
1
1NPO法人ぷねうま群馬
pp.831-836
発行日 2020年7月20日
Published Date 2020/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202188
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診断名とその本態
広汎性発達障害(pervasive developmental disorders:PDD)とは,いわゆる“自閉症”を指すICD-10〔International Classification of Disease:疾病及び関連保健問題の国際統計分類第10版(2016)註1)〕での診断名である.この同じ疾病に対してDSM-Ⅴ〔Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders:精神障害の診断と統計マニュアル第5版(2013)〕では自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)という名称をつけている.
2つの診断名があると,疾病の内容に違いがあるような印象を受けるが,分類体系が異なるだけで,両者がカバーする範囲には大差がない.PDDは小児自閉症,アスペルガー症候群,特定不能の群を総称する上位概念になっているが,ASDでは,それらが下位の類型として分類されておらず,それらを一つのものとして内包する概念となっている.スペクトラムという語は「同じ仲間と見なせる」ことを意味しており,多様な類型をとり得るが同じ根をもつ群としてこの疾病を包括的に捉えた診断名といえる.
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