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Key Questions
Q1:強度行動障害とは何か?
Q2:強度行動障害の評価と原因・出現メカニズムは?
Q3:強度行動障害への治療的介入のポイントは?
はじめに
本特集のテーマのタイトルは,「“こだわり”のある子ども(人)への支援—強度行動障害」であるが,もちろん“こだわり”イコール「強度行動障害」ではない.「強度行動障害」とは,その出現頻度,自他の生命・健康への加害度,周囲に及ぶ迷惑度等がきわめて高く,その処遇が著しく困難である場合に,その症状および行動の総体をそのように呼ぶ.したがって特定の疾患の症状というより,社会生活に視座を置いた行動上の概念といえる.診断名の如何にかかわらず,そのような状態像を強度行動障害と呼ぶ.この用語を最初に使用した「行動障害児(者)研究会」〔1989年(平成元年)〕の定義1)は,“精神科的な診断として定義される群とは異なり,直接的他害(噛み付き,頭突き等)や,間接的他害(睡眠の乱れ,同一性の保持等),自傷行為等が通常考えられない頻度と形式で出現し,その養育環境では著しく処遇の困難な者”となっている.青年・成年期の自閉症者,青年期に急激に退行するダウン症児,注意欠陥・多動性障害,トゥレット障害を合併した自閉症者に多くみられるようである2,3).
いずれにせよ強度行動障害は,青年期に症状が顕現・重篤化するので,疾患の本態に直接由来する症状というより,成育の過程において環境との相互交渉により形成される部分との混合であることは,多くの研究者,臨床家がすでに指摘しているところである.誤学習として形成されてきた部分があれば,そこにまた介入によってその進展を阻止・改善し,状態像を変化させる可能性も存在するわけである.
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