Close-up デジタル化する理学療法
VRリハビリテーション—特性と臨床応用
安田 和弘
1
,
加藤 史洋
2
,
佐武 陸史
3
,
岩田 浩康
4
Kazuhiro YASUDA
1
,
Fumihiro KATO
2
,
Rikushi SABU
3
,
Hiroyasu IWATA
4
1早稲田大学理工学術院総合研究所
2早稲田大学グリーン・コンピューティング・システム研究機構グローバルアカデミアロボット研究所
3早稲田大学創造理工学研究科
4早稲田大学創造理工学部総合機械工学科
キーワード:
バーチャルリアリティ
,
臨場感
,
sense of presence
,
自己所有感
,
sence of ownership
,
運動・認知リハビリテーション
Keyword:
バーチャルリアリティ
,
臨場感
,
sense of presence
,
自己所有感
,
sence of ownership
,
運動・認知リハビリテーション
pp.1237-1242
発行日 2021年11月15日
Published Date 2021/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202489
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はじめに
医療や介護の現場にもバーチャルリアリティ(virtual reality:VR)技術の導入が進みつつある.
現在のVRの原型はアメリカ航空宇宙局(NASA)のエイムズ研究所で1980年代に開発されたワークステーション(VIEW)と名づけられたプロジェクトが起点と言われている1).近年では,頭部搭載型ディスプレイ(head mounted display:HMD)が安価に手に入るようになり,VR技術を用いたアミューズメント体験や研究を行うことが容易になった.また,民生用のHMDでもヒトの視野角程度の画角が呈示できるものが登場しており,VR装置を用いることで臨場感の高い視覚体験を容易に得ることが可能になってきた.
このような技術革新が進むなかで,セラピストはVRを臨床導入することに関して,原理や特性,臨床知見などに対してさまざまな関心をもっていることが予想される.そこで本稿では,VRの定義,一般的に使用される装置を概観しつつ,VRの重要な特徴である「臨場感」や「身体所有感」などについて触れる.また,この技術や原理を用いた実際のリハビリテーションへの適応例についても紹介したい.VRは,家庭用ゲーム機やスマートフォンによる簡易VR視聴装置など没入感の高い体験手法が“VR”として一般に普及してきた経緯があるため,本稿に限っては「没入型ディスプレイ(immersive virtual reality)」をVRと呼称することにする.
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