増刊号 スポーツがもつ可能性—作業療法への期待
第2章 身体障害とスポーツ
5 自助具・補助具の評価,リスク管理—頸髄損傷者のチェアスキー参加の支援
玉垣 努
1
Tsutomu Tamagaki
1
1神奈川県立保健福祉大学
pp.776-780
発行日 2019年7月20日
Published Date 2019/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201784
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頸髄損傷者のチェアスキー参加の可能性
障害者スポーツはさまざまな種類があり,1960年からはパラリンピック(第9回国際ストーク・マンデビル大会を,後に第1回パラリンピック大会とした)が開催されるようになった.今回取り上げる障害者スポーツは,パラリンピックの冬季種目にもなっているチェアスキーである.チェアスキーは,脊髄損傷者(以下,脊損者)が中心で,頸髄損傷者(以下,頸損者)は困難とされてきた.しかし,近年,頸損者からのチェアスキーに対する需要が高まっている.頸損者がチェアスキーを行うにはさまざまな障害がある.その障害を克服するために,チェアスキーのモデルが改良され,身体機能を代償する装具が開発された.
一般的に頸損者や第5胸髄以上を損傷した脊損者は,交感神経障害によって体温調節機能が障害され,寒冷環境下では核心温度を維持することができず,低体温に陥る危険性があるといわれている.そのため,用具等の改良に加えて,低体温にならずに安全で,より効果的に体温を維持できる方法を提案する必要がある.
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