講座 自助具知識のupdate・第1回【新連載】
自助具総論
林 正春
1
Masaharu Hayashi
1
1JA静岡厚生連 リハビリテーション中伊豆温泉病院
pp.54-59
発行日 2018年1月15日
Published Date 2018/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201163
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はじめに
作業療法において「自助具の考案・作製」は,「身体障害」,「発達障害」,「精神障害」,「老年期」の各領域で共通する対象者の生活行為支援のための技法のひとつである.作業療法はアセスメント,治療,生活行為維持・向上,社会参加の支援に「その人らしさ」を意識したマネジメントを行う.自助具の考案や作製は「ただ道具をつくる」というものではなく,医学的根拠・OT特有の創造力で「その人らしい人生」を考えた作品を生み出し,生活行為が維持改善されるという「目に見える成果」を示す使命がある.たとえば,徒手療法やADL指導は多職種協働の中で実践され,必ずしもOT特有の技法ではなく,成果の分析が難しい面がある.しかし,自助具の導入で生活行為の改善や発展,社会復帰が達成できたとするならば,作業療法の成果であることが明白となり,やりがいを感じる.このように自助具の考案や作製は「作業療法らしい」技法である.そのため物づくりに苦手意識があり,自助具作製から距離をおいているOTには,これからの地域包括ケアシステムの各事業でOTが貢献できる具体的取り組みとして,疾患別・障害別の自助具導入や作製技術の紹介および指導は有効である.
本講座では,「筋ジストロフィー」,「頸髄損傷」,「脳血管疾患」の各分野のスペシャリストからアイデアや技術を伝授していただき,自助具の考案や作製への使命感を新たに,自助具作製の技術向上につなげ,これからの地域医療に貢献できるOTの育成を願う.
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