Japanese
English
入門講座 3Dプリンタを使ってみよう!・3
頸髄損傷者における3Dプリンタ自助具の導入と課題
Introduction and problems of self-help tools created by 3D printer for cervical spinal cord injuries
水谷 とよ江
1
Toyoe Mizutani
1
1国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局第二自立訓練部肢体機能訓練課
1Limb Function Training Section, Second Independent Training Department, Independent Support Bureau, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities
キーワード:
3Dプリンター
,
ADL
Keyword:
3Dプリンター
,
ADL
pp.47-52
発行日 2021年1月10日
Published Date 2021/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202130
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
国立障害者リハビリテーションセンター(以下,当センター)では,頸髄損傷により重度の四肢麻痺となった方に対して障害者総合支援法による自立訓練(以下,機能訓練)にて日常生活動作(activities of daily living;ADL)の向上を目指し支援を行っている.利用者の多くは胸から下の感覚がなく,体幹と下肢はまったく動かず,上肢も主に手首を返すこと(手関節背屈)は可能なものの,反対の動作(手関節掌屈)や手指の曲げ伸ばしはほとんどできない.また自律神経麻痺も同時に起こるため,汗をかくことができなかったり排尿・排便管理が困難であったりする.
このような状況の利用者は,実に多くの場面で自助具を必要とする.物の把持を代用するためにスプーンやブラシ,体を洗うためのタオルなどにつけるループやホルダー,万能カフ,大きなものであればベッドに移乗する際に使用されるトランスファーボードなどが挙げられる.
当センターでは,利用者が訓練や生活場面で活用する自助具で,身体内部に大きな影響のないもの(口に含んだり,体内に挿入したりする必要性がないもの)を中心に,3Dプリンタを使用した自助具の製作に取り組んでいる.就労・就学に向けて習得するPCのタイピング自助具や自己導尿時に使う自助具は多く作製しているが,本稿では,事例としては少ないものの,試行錯誤した結果うまく活用できた自助具について紹介する.
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.