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編集後記
中村 春基
pp.428
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201678
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日本作業療法士協会が開発したMTDLPが臨床応用され約5年,やっとこのような特集が組めるようになった.これまで尽力されてきた日本作業療法士協会の関係各位および真摯に取り組んでこられたOTに深く感謝する.本特集はMTDLPの開発経過,取り組みと現状の課題,他職種からのコメント等,いわば中間評価的な位置づけであるが,今後の作業療法の発展に大きく寄与する内容である.ご執筆いただいた方々には心より敬意を表する.
さて,私は今のリハの動向を危惧している.1990年代,わが国では大きな問題となっていなかったが,主に米国ではリハ無用論が吹き荒れた.ADLからQOLへの価値観の変換,IL運動の広がりにより,ADL中心のリハが否定されたのである.その流れの中で2001年(平成13年)にICFが発表され,患者の自己選択,自己決定,主体的な治療,活動と参加に資する治療は,今や医療の常識であると考えている.また医療が「治す医療」から「治し支える医療」へと,さらに「入院医療中心から在宅医療」へと変革する中で,はたして回復期リハの作業療法はそれに基づいて実践されているだろうか.アウトカムにFIMが導入され,結果として「いつか通った道」を走っているのではないか.ADLの自立が重要なことはいうまでもないが,それで終わっていないだろうか.今一度立ち止まって考える時期にあるように思う.
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