わたしの大切な作業・第11回
日常生活から生まれるピラミッド論考
河江 肖剰
pp.209
発行日 2019年3月15日
Published Date 2019/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201618
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とにかく動いている。1日中、休みなく動いている。10年ほど前に妻を亡くし、3人の子どもを育てながら、エジプトのピラミッドを研究している。義母や母親や周りのサポートは、有り難いほどに受けているが、それでも家事子育てに休みはなく、やれ掃除だ、やれ食事だ、やれ子どものイベントだ、地域の公園掃除だと、家庭にかかわることで、常にてんてこまいだ。その合間を縫うように、エジプトの現地調査の準備を行い、資金集めに精を出し、報告書や論文を書くという作業をしている。加えて、エジプト考古学を広めるべく、講演活動を精力的に行いつつ、TVやラジオ等のメディアにも出演している。さらに、文武両道を体現すべく、武道の稽古もできるかぎり行っている。
私の論考は、書物を渉猟し、机の前で熟考することで生まれることもあるが、多くはこういった身体を動かす中で生まれている。そのため、重要なのはすぐにメモをとれる体制を整えておくことだ。何か思い浮かんだら、行っている作業を中断して、すぐにMacに向かって書くようにしている。そのため、パソコンは基本ONになっているし、家にはどこでもメモがとれるようにメモ帳と鉛筆がある。今日日はiPhoneを持ち歩き、Evernoteというメモ・アプリに思い浮かんだことを打っている。この文章も洗濯物を干そうとしている最中に思い浮かび、いったん家事を中断して、書きはじめていた。
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