Feature Topic 早期緩和ケアの正体
別の視点から
—論考—after 2025を見据えた「街場(地域)の緩和ケア」試論
横山 太郎
1
1横浜市立市民病院緩和ケア内科
pp.79-83
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200045
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なぜ、街場(地域)に出ようと思ったのか?
私の実家は、昭和28年に祖父が他の医師から引き継ぐ形で開業し、18年前から父が院長となっている。昭和28年当時、手狭になり移転した現在の開業地は一面の沼地で、周囲には病院もクリニックもなかった。そんな背景だけとは信じたくないが、地域の方は気性の荒い横山家の医師たちに愛想をつかすことなく通い続けてくれた。そんな恵まれた環境のなかで私は、いつの間にか医師になることより「継ぐ」ことを考えるようになっていた。
その後、祖父の葬式で患者さんから「私を看取るはあんただよ。しっかりしなさい。」と声をかけられ、自分の生き方や価値観に疑問をもち、祖父から「人のためになることをしろ。それが俺らの使命だ。」と話してくれたことを思い出した。しかし、人間弱いもので医師になった頃には、地域にクリニックが増えたこともあり、「安全に『継ぐ』ためにはどうすべきか」を考えるようになっていた。
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