Feature Topic 早期緩和ケアの正体
別の視点から
—論考—「診断時からの緩和ケア」は届いているのか?—緩和ケアの再考
桜井 なおみ
1
1特定非営利活動法人HOPEプロジェクト
pp.70-78
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200044
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はじめに
「診断時からの緩和ケア」という文言が第二次がん対策推進基本計画〔平成24(2013)年〕に盛り込まれてから3年が経つ。内閣府の「がん対策に関する世論調査(平成26年度)」では67.4%が「緩和ケアについて知っている」と回答するなど、用語に関する認識は広がりつつある。では、「診断時からの緩和ケア」とはどのようなものなのだろうか? そして、それは本当に患者の下に届いているのだろうか?
私は、緩和ケアには、いくつかの異なる「シーズン(時系列)」があると思っている。「診断時からの緩和ケア」という言葉はTemel論文を引用元として使われることが多いが、この論文が対象とした患者は、「早期がん」ではなく「ステージⅣ期の肺がん」患者であるということを見誤ってはいけない。つまり、「診断時」ではなく、「ステージⅣ期診断時」からの緩和ケアの介入結果なのである。
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