Feature Topic がん免疫療法時代の航海図
がん免疫療法の現在地
—論考—がん免疫療法の光と影
後藤 悌
1
1国立がん研究センター中央病院呼吸器内科
pp.526-531
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200125
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「価値」と「値段」
免疫チェックポイント阻害薬の光と影というタイトルの記事が昨年あったとする。光は従来の抗がん剤を上回る効果、long tail効果、少ない有害事象であり、影はpseudo-progressionで迷う止め時、がん治療ではみたことのない有害事象であろうか。それらの内容は本誌の他のページに十分に解説がある。今回、このタイトルでご依頼いただいた主な内容は「financial toxicity」である。高額医薬品の話題は最近しばしば取り上げられている。
医薬品の急騰についての直近の話題は、米国におけるエピペン®の値上げである。エピペン®はアドレナリンの自己注射薬であり、アナフィラキシーの特効薬である。米国の製薬会社Mylanはエピペン®を独占的に販売しているが、同薬の価格は、過去6年間で100ドルから500ドル以上に値上げされた。女優のサラ=ジェシカ・パーカーはこの報道を受けてMylan社の広告への出演を取りやめた。ヒラリー・クリントン大統領候補もいち早く、この問題点をSNSで取り上げた。CEOの年収が3年間で800万ドルから2,300万ドルにまで昇給したこともスキャンダルの原因となった。
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