Feature Topic がん免疫療法時代の航海図
がん免疫療法の現在地
—論考—ジミー・カーターの薬
白井 敬祐
1
1Dartmouth-Hitchcok Medical Center, Hmatology/Oncology
pp.523-525
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200124
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ipilimumab?
“ipilimumab”この舌をかみそうな名前の薬に出会ったのは2008年である。この年は3年間の血液腫瘍内科のフェローシップが終わり、指導医として働き出した年であった。その当時、私の在籍していたがんセンターでは、悪性黒色腫(メラノーマ)の専門家がおらず、若い指導医のもち回りのようになっていた。フェロー時代から免疫療法のプロトコル作りに参加していたことから、メラノーマを任されるようになり、ラッキーにもイピリムマブの臨床試験にも関わることができたのである。
とはいっても、奏効率もわかっておらず、10mg/kgの投与量では下痢や腸炎の副作用に苦労させられた。2010年にはASCO史上初めてメラノーマの演題がプレナリーセッションで取り上げられた。そのひとつが“ipilimumab”である。2011年にアメリカで認可にいたるまでのあいだ、compassionate use*1の臨床試験として薬は手に入れることができたので、そこで経験値を上げた。
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