Feature Topic Over80歳のがん診療
超高齢時代のがん診療について
—論考—超高齢がん患者に対する臨床試験デザイン
長島 文夫
1
,
水谷 友紀
2
,
濱口 哲弥
3
,
小川 朝生
4
,
前野 聡子
5
,
古瀬 純司
5
1杏林大学医学部腫瘍内科学
2国立がん研究センター研究支援センター
3国立がん研究センター中央病院消化管内科
4国立がん研究センター東病院精神腫瘍科
5杏林大学医学部内科学腫瘍科
pp.255-259
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200078
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高齢がん患者に対する適切な医療のエビデンスを
超高齢社会を迎え、高齢がん患者数は増加しているが、高齢がん患者に対する治療の意思決定に寄与するエビデンスは乏しい。これは、高齢がん患者は、臓器機能障害や併存症の頻度が高いこと、他病死のリスクが高い(治療の違いによる生存期間の真の差が検出しにくくなる)こと、重篤な有害事象が生じやすい(毒性を過大評価する)ことなどから、通常の臨床試験の対象外となることが多かったことによる。
高齢がん患者はその特徴ゆえ、若年のがん患者とは治療戦略が異なることがある。このため、高齢がん患者に対して適切な医療を提供するためのエビデンス創出のニーズが増しているが、高齢がん患者を対象とする臨床研究を行なう際の考え方・方法論は確立されていないのが現状である。このような背景から、日本臨床腫瘍研究グループ(Japan Clinical Oncology Group;JCOG)では、高齢者研究の考え方を議論し整理するために、JCOG各専門領域別グループの研究者、精神腫瘍学、老年医学、臨床薬理学、QOL(quality of life、生活の質)の専門家などを含むメンバーで構成される「高齢者研究小委員会」*1を2013年12月に発足させた。
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