Japanese
English
特集 身体障害のある方の運転を再考する
作業療法士の自動車運転支援へのかかわり—初期から2000年代初頭までの歴史的考察を踏まえて
Occupational therapist's involvement in driving support
藤田 佳男
1
Yoshio Fujita
1
1千葉県立保健医療大学
pp.1114-1118
発行日 2018年10月15日
Published Date 2018/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201468
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Key Questions
Q1:身体障害者に対する運転免許制度はどのように変わってきたか?
Q2:日本での運転リハビリテーションはどのように始まったか?
Q3:作業療法士が運転に関与しはじめたのはいつか?
はじめに
日本におけるOTの自動車運転への関与は,記録にあるかぎり1980年代前半より始まっているが,一部の施設ではそれ以前にも行われていたものとみられる.その後さまざまな施設で自動車運転支援が開始されたが,当初は周囲の理解も十分でなく,2005年(平成17年)前後まで組織的・継続的な取り組みは少なかった.しかし,社会状況の変化や運転に関する医療系研究会の設立等により取り組みが推進され,2017年(平成29年)の調査によると550カ所近くの施設が自動車運転に関与しており,指定自動車教習所(以下,指定教習所)と連携して実車評価を行う施設も210カ所を超えている.
これを見るかぎり,ここ10数年で自動車運転支援は広がりをみせたといえる.しかし,学会等での報告は脳疾患が大半であり,整形外科疾患や神経筋疾患は驚くほど少なく,疾患に関係なく支援が行われているかどうかは明らかでない.特に切断や脊損等,整形外科疾患(いわゆる肢体不自由)については,運転リハビリテーション(以下,運転リハ)のルーツであるにもかかわらず,適切な支援が受けられないまま運転を再開している例も見受けられる.
そこで本稿では,障害者の運転および作業療法のかかわりについて,創成期から,取り組みが広がった2000年代初頭までを振り返り,運転を中心とした地域での移動性を支援する専門性について再確認することを目的とする.
Copyright © 2018, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.