提言
作業療法士としてのモビリティへの支援—地域での移動と自動車運転
藤田 佳男
1,2
Yoshio Fujita
1,2
1千葉県立保健医療大学健康科学部
2慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室
pp.4-5
発行日 2017年1月15日
Published Date 2017/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200801
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はじめに
2016年(平成28年)1月29日,「朗報ですね」という件名のメールが北海道の仲間から私のもとに届いた.そのメールには1月27日に開催された中央社会保険医療協議会の総会資料「個別改定項目について」というファイルが添付されており,それには「生活機能に関するリハビリテーションの実施場所の拡充」という項目があった.この内容には「IADL(手段的日常生活活動)や社会生活における活動の能力の獲得のために,実際の状況における訓練を行うことが必要な場合に限り,医療機関外におけるリハビリテーションを疾患別リハビリテーションの対象に含めることとする」とされており,その具体例として「移動の手段の獲得を目的として,道路の横断,エレベーター,エスカレーターの利用,券売機,改札機の利用,バス,電車,乗用車等への乗降,自動車の運転等の訓練を行うもの」(下線は筆者による)と記載されていた.
このメールをきっかけとして,「運転と作業療法研究会」(http://otdriving-support.jimdo.com/)の設立メンバーは新たなステップを歩みはじめることとなった.そこで本稿では,自身が運転支援を進めてきたプロセスを「方法と対象」として紹介し,「結果」として現在の運転と作業療法の現状を概説したうえで「考察」として私見を述べる.
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