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はじめに
発達障害児者を対象とした感覚処理・協調運動のアセスメントに関しては,臨床場面での観察やインタビューに加えて,標準化された方法が用いられている.標準化されたアセスメントからは,現在,対象児が同年齢集団内で相対的にどの位置にいるのかを知ることができる.また,領域・項目間を比較することで,発達の偏りをとらえることもできる.本稿では,国内外で標準化されている検査の代表的なものを紹介する.
標準化されているアセスメントは,①日常生活における行動特性を整理するための質問紙,②実際の運動パフォーマンスや感覚刺激に対する反応を確認するための検査に大きく分けることができる.
①は主に保護者や教師が記入するものであるが,一定の年齢以上では自己記入による質問紙も開発されている.質問紙は日常的な行動特性を把握することが可能であり,対象児者への負担も少ないが,記入者の主観が反映されやすい点は留意しておく必要がある.そのため,保護者・教師・本人等,複数の者が,家庭や学校環境での様子に基づき記入し,包括的にアセスメントすることが望ましい.質問紙の本来の目的ではないが,保護者が対象児をどのようにとらえているのか,また対象者本人が自己をどのようにとらえているのかを知る手がかりになる場合もある.最終的な得点だけではなく,質問項目に関してインタビューを追加することで,対象児・者の普段の様子や行動特性の理解を深めることができる.感覚体験は主観的なものであり,本人の語りは非常に重要である.
②は主に対象児者が検査課題を行い,課題の得点が算出されるものである.多くは,成功数や誤数,時間や距離等が得点となる.そのため,パフォーマンスや反応の質的側面が得点に反映されない場合がある.得点以上に,実際のパフォーマンスや感覚刺激に対する反応が個々の特性を反映している場合も多いため,検査中の観察が重要になる.
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