増刊号 発達障害の作業療法
第3章 評価・治療・支援技法
5 学校教育におけるソーシャルスキルトレーニング—作業療法士の役割
池田 千紗
1
,
鴨下 賢一
2
Chisa Ikeda
1
,
Kenichi Kamoshita
2
1北海道教育大学札幌校
2静岡県立こども病院
pp.835-840
発行日 2018年7月20日
Published Date 2018/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201389
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はじめに
1.ソーシャルスキルとは
ソーシャルスキル(social skill)は社会的技能と訳され,人(社会)とうまくかかわっていくために必要な技能,日常生活を送ることや人とのかかわりの中で適切な行動をとる能力1)等と定義づけられている.ソーシャルスキルの基盤は親子関係と意図理解であり,乳幼児期の発達段階における親子でのやりとりを基に,他者を理解する機能を獲得し,ソーシャルスキルの基盤が形成される1).またソーシャルスキルを発揮するには,①その場の状況や相手の状態を的確に読み取り判断する,②対人状況の中で何を目指すべきか対人目標を決定する,③対人目標の達成のために対人反応を決定する,④対人反応を的確に実行するために感情をコントロールする,⑤自分の嗜好や感情を言語行動(言葉),非言語行動(手振り,身振り等)を用いて相手に伝える,という少なくとも5つの過程を経ると考えられ,ソーシャルスキルには人間関係に関するルールや過去の経験等の認知的機能が作用していると考えられている2).
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