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特集 感覚情報の処理機構
感覚情報の処理機構について
Introduction to the information processing in the sensory systems
勝木 保次
1
Yasuji KATSUKI
1
1鶴見女子大学歯学部生理学教室
1Department of Physiology, Tsurumi Women's University School of Dentistry
pp.573-574
発行日 1972年8月10日
Published Date 1972/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903411
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感覚情報の処理機構が世の注目を浴びてからかなりの時がたった。このように注目を浴びるようになった理由は,もちろん純生理学的な興味からでもあるが,一方工学系の研究者が新らしいアイデアを強く求めてきたことにもよるのであって,昨年の日本医学会総会のシンポジウムの一つに選ばれ,筆者にその司会を委ねられた。実際の討論で驚かされたことは,最近の著しい進歩であった。もちろんこれには新しい方法の開発が大いに力あるのであるが,やはり時間とともに研究が広範となり,生体機構の複雑さがいよいよ明かにされつつあるわけで臨床医学とも深い関係のあるこれらの事実と,さらにそのシンポジウムに欠けていた他の方面の智識を加えてより広い視野にたった感覚情報処理に関するまとめが本書となったもので,若手の研究者も加えた新しいシンポジウムといって差支えなかろう。
感覚には多くの種があり,高等下等の別もある。したがって全貌を明らかにすることはその多様性を披露することになるが,幸いにも以下に述べられるように多様性の中にも一貫した基本的な原理が見出される。現在研究に従事している人達は,眼前の複雑性の虜になり勝ちであるが,かえって第三者的立場の人はこのような原理を捕えやすい場合がある。この意味からは本書のような多数の専門家の筆になる著述の集積は,集団の透視図の作成に大いに役立ち,読者の益する所も少なくあるまい。
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