増刊号 発達障害の作業療法
第3章 評価・治療・支援技法
3 ADL,適応行動の評価
三和 彩
1
Aya Miwa
1
1美幌療育病院
pp.823-827
発行日 2018年7月20日
Published Date 2018/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201387
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はじめに
日常生活動作(以下,ADL)を1人でできるようになることは,幼児期のお子さんの発達課題の1つに位置づけられる.その習得過程は,「1歳半ごろ靴下が脱げる」というように発達のマイルストーンとしても大いに活用されている.また,定型的な評価では,さまざまな発達評価の下位検査として位置づけられるもの(「遠城寺式・乳幼児分析的発達検査表」,「KIDS乳幼児発達スケール」等)や,単独で評価できるもの(「PEDIリハビリテーションのための子どもの能力低下評価法」)等がある.
臨床場面では,「身の回りのことは1人でできる能力はあるはずなのに,実際の生活の中ではなかなかやってくれない」といった相談を受けることも多い.また,学齢期になって,知的水準は平均かそれ以上あるのに,学校生活や友だち関係でうまくいかない場合に,社会生活に必要な事柄の習得が大きく遅れていることも少なくない.作業療法で支援する場合であっても,ADLの動作遂行の能力だけではなく,広く社会生活場面で適応できているかという適応行動の評価の視点は不可欠である.
適応行動は個人の生活に関するスキル全般を指し,言語,社会的コミュニケーション,セルフケア,日常生活スキル,就学・就労スキル,余暇等の領域が含まれる1).適応行動の視点は,将来の自立に向けた重要度が近年注目されており,日本で標準化された評価も発売されている.
ここでは,作業療法の臨床場面での活用が多いと思われる,「ASA旭出式社会適応スキル検査」と「日本版Vineland-Ⅱ適応行動尺度」を紹介したい.
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