増刊号 上肢・手の機能と作業療法—子どもから大人まで
第4章 未来に向けた展望
1 上肢・手の機能と作業療法—未来への展望
山本 伸一
1,2
Shin-ichi Yamamoto
1,2
1山梨リハビリテーション病院
2日本作業療法士協会
pp.866-868
発行日 2017年7月20日
Published Date 2017/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201019
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はじめに
上肢機能アプローチは,両手活動を必要とする「生活を支える作業療法」にとって重視しなければならない介入であろう.
何らかの理由で利き手が使えなくなった場合,以前は,利き手交換が主なアプローチであったかもしれない.もちろん,それは対象者の自立に向けて必要なこと.十分に理解している.しかしながら,特に中枢神経系疾患の対象者は納得するだろうか.これは,無理である.きれいごとでは済まない.私は臨床で30年以上,対象者と向き合ってきた.誰一人として非麻痺側だけへの介入では満足しない.対象者の希望に応え,結果を出すことがプロフェッショナルの仕事である.
一方,回復期リハ病棟が導入され,麻痺側上肢への介入があたり前になったころから,「脳の可塑性」,「運動学習に基づいた介入」等が世間で広まったことも現実.今やボトックスやTMS,川平法,CI療法と,慢性期の麻痺上肢に対するアプローチもあたり前になりつつある.
本稿では脳の可塑性や作業療法への展開,さらにはハイテクノロジー(ロボット)と作業療法の未来を考察する.
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