増刊号 上肢・手の機能と作業療法—子どもから大人まで
第3章 疾患別 上肢・手の困難事例へのアプローチ—具体的介入例とポイント
16 発達障害(通常学級での支援)
仙石 泰仁
1
Yasuhito Sengoku
1
1札幌医科大学
pp.829-834
発行日 2017年7月20日
Published Date 2017/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201012
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特別支援教育と作業療法
2007年(平成19年)から正式に実施された特別支援教育は,対象となる子ども一人ひとりのニーズを適切に把握し,合理的な教育的配慮を行うことがその中心的な理念である1).そのため,障害の有無の判断や,望ましい教育的対応を助言する専門家チームの設置や,巡回相談の実施等も可能なかぎり行うこととされている.OTがこの専門家チームに参画することを日本作業療法士協会でも推進しており,さまざまな地域での実践報告も散見される2〜4).学校教育にOTが参画するシステムが確立している米国では,その有用性を示す調査研究や介入研究も広く行われている5〜9).これらの研究では,学校で働くOTが提供するサービスには主に「直接サービス(direct service)」と「相談サービス(consultation model)」があり,学校生活全般,書字活動,巧緻機能,視知覚への介入が中心であるとしている.わが国でも米国と同様に実践を積み重ねてきているが,地域による差,学校単位での差,保護者の意識の差,サービスを提供するOTの質的な差など,さまざまな障壁があることも事実である.さらに通常学級では,外部専門家であるOTが行えるサービスにも限界がある.本稿では筆者が訪問相談を行った通常学級に在籍する児童で,本稿にまとめることに保護者が同意した2事例を紹介し,通常学級における障壁と支援を行うOTの資質について私見を述べる.
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