増刊号 スポーツがもつ可能性—作業療法への期待
第3章 知的障害,発達障害とスポーツ
2 通常学級での体育への支援
笹田 哲
1
Satoshi Sasada
1
1神奈川県立保健福祉大学
pp.814-819
発行日 2019年7月20日
Published Date 2019/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201791
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
体育が苦手な子ども
筆者は各校の特別支援教育コーディネーターから依頼を受けて,日程調整し小学校通常学級を訪問している.これまで学校生活に焦点を当て,学校という場における作業療法を展開してきた.本稿では体育授業における教師との連携を目指した作業療法の実践を報告し,OTの役割について考えてみたい.訪問時の大まかな流れとしては,体育館,グラウンド,プール等で授業中の各運動課題を通して評価し,長所・改善点を抽出する.授業終了後,今後の授業指導に向けて担当教師へコンサルテーションしている.
小学体育の授業内容は,低学年(第1,2学年),中学年(第3,4学年),高学年(第5,6学年)の2学年ごとに特徴があり,低学年では「遊び」の面が重視され,中学年では「運動」の面が増加し,高学年では「体力」の面が強調されており,子どもの成長に合わせ,段階的に運動へ取り組めるよう設定されている.三木1)は,運動の楽しさは「できる」ことにあるとし,このような能力を高めるにはどうしても技術や体力,知識等を学習する必要性が出てくると述べている.一方で中村2)は,体力低下やけがの増加と,動きの不器用さ,生活習慣病と肥満,アレルギーと体温異常等,現代の子どもの身体のおかしさを指摘し,子どもの身体は自然に育ってはいかなくなっていると述べている.さらに通常学級においても,自閉スペクトラム症(ASD),注意欠如・多動症(ADHD),学習障害(LD),発達性協調運動障害(DCD)で不器用さがある子どもたちへの具体的な指導は困難となることが予想される.
Copyright © 2019, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.