増刊号 上肢・手の機能と作業療法—子どもから大人まで
第1章 上肢・手の機能と作業療法
8 —最新の福祉用具とロボット技術:小児—子どもの発達を促す活用について
鴨下 賢一
1
Kenichi Kamoshita
1
1静岡県立こども病院
pp.659-663
発行日 2017年7月20日
Published Date 2017/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200977
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福祉用具やロボットは,基本的に小児に限定されるものはなく,サイズや使用目的に成人との違いがみられる.小児の場合には上肢や手の機能の改善だけではなく,発達を促す目的にも利用される.そして,上肢や手の機能の発達とともに,認知・言語機能を高めながら,身辺自立や学習,遊び,対人機能の発達を通じて自己有能感を高め,最も重要な自尊感情の発達を育てていく必要がある.
たとえば子どもは1歳ごろからクレヨン等を握り持ち(手掌回外握り)して殴り書きをはじめる.2歳ごろになると線を描けるようになり,3歳になると人の顔らしきものを描けるようになる.4歳になると三角も書けるようになり,5歳では人の全身像も描けるようになっていく.それに伴い鉛筆の持ち方も,手指回内握りから側方つまみ,静的三指握りから動的三指握りへと発達していく.鉛筆を三指握りできるようになってくると箸も使うことができるようになっていく(表1)).そして文字が読めるようになり,まねて書けるようになっていく.
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