Japanese
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特集 認知症—身体障害合併症を中心に
認知症のある方への対応—能力と障害の把握
Support for the people with dementia:evaluation of ability and impairment
佐藤 良枝
1
Yoshie Sato
1
1曽我病院
pp.118-122
発行日 2017年2月15日
Published Date 2017/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200832
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Key Questions
Q1:認知症のある方は能力が低下しているだけなのか?
Q2:OTとしての視点で寄与するとはどういうことか?
Q3:評価を対応に活用するとはどういうことか?
はじめに
「いろいろな相談機関を訪れたけれど,こんなに具体的に教えてもらったのははじめて」
あるご家族が私に語った言葉である.今は認知症に関する相談機関が増えてきている.このご家族もたくさんの場所で相談したのだそうだ.だが,「どこに行っても抽象的,総論的なことしか言われず,言われたことはわかるが,今困っている事柄に対してどうしたらよいのか納得できる答えをもらえなかった.入院してはじめて具体的に何が起こっているか,どうしたらよいのか明確に説明してもらえた」と言っていた.
認知症の普及・啓発は進んできているが,一方で認知症のある方とご家族の切実な困難に対して適切な援助が提供できているとは言いがたい状況も少なからずみられている.とりわけOTは認知症という分野に対しては後発的に参入した職種であり,障害と能力のプロとしての視点を十分に活用した援助が展開できているとはまだまだ言いがたいし,それほど周知されてもいないと言ってよいだろう.
本稿が認知症のある方とご家族の余分な困難を少しでも緩和することに寄与できるのであれば,筆者にとって大きな喜びである.
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