Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Key Questions
Q1:セラピー用ロボット・パロを作業療法のツールとして役立てることができるのか?
Q2:パロを使用する場合に配慮すべきことはどのようなことか?
Q3:人の心に働きかけるロボット・パロにはどのような効果があるのか?
はじめに
現在,ロボットは否応なしにわれわれの生活へ入ってきており,医療・福祉現場へもその波は同様に押し寄せている.新成長戦略「介護機器(福祉用具)開発の促進」〔2010年(平成22年)6月〕に準じて,現在,「福祉用具・介護ロボット実用化支援事業」,「ロボット介護機器開発・導入促進事業」が推進されている.神奈川県は国から地域活性化総合特区「さがみロボット産業特区—ロボットで支える県民のいのち—」の指定を受け,新産業創設へ向けて一大プロジェクトを展開している.なお,国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の2016年度(平成28年度)ロボット介護機器開発・導入促進事業(基準策定・評価事業)「ロボット介護機器開発に関する調査」においても医療・福祉現場で活用できる多くのコミュニケーションロボット(言語,非言語を問わず,コミュニケーションを目的もしくは手段として用いるロボット)の大規模検証が行われており,その結果に期待が寄せられている.
筆者は,文部科学省,神奈川県等による研究助成を受け,一部のコミュニケーションロボットの高齢者等に対する効果研究に取り組んできた.コミュニケーション向上,支援に活用できるロボットには,「PALRO」(富士ソフト株式会社),「Pepper」(ソフトバンクロボティクス株式会社)他があり,ロボット様玩具には,「一緒に笑おう!うなずきかぼちゃん」(ピップRT株式会社)等がある.介護分野で活用できるロボットには,コミュニケーション以外にも,身体介護,見守り,スケジュール管理,メール送受信,各種機能評価 ・訓練等の生活支援を行えるものもあり,今後ますます,医療,福祉の現場だけではなく,生活支援ツールとして身近な存在になるだろう.このように,ロボットの実用化に伴い,一部のロボットを作業療法支援のツールとして利用することができるようになっている.
本稿では,コミュニケーション等の向上が期待できる「セラピー用アザラシ型メンタルコミットロボット・パロ」を取り上げる(図1).
Copyright © 2017, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.