特集 私の目指す教育者像
心豊かな人間性を
松田 明子
1
1慶応義塾大学医学部厚生女子学院
pp.27-28
発行日 1968年4月1日
Published Date 1968/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906002
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自己をみつめて
教務に勤務するようになって,ちょうど1年になる。看護をとりまいている社会は,変転きわまりなく,看護の役割は常にその変化に対して,応じられるよう要求されている。そのような中で,看護教育という重要な仕事の一端に仲間入りした現在,雑事に追われ厚い壁にぶつかるたびに,いかにその道が,遠く複雑なものであるかということを知らされ,とかく初めのファイトも希望も見失いがちであった。こんな気持で一時期を過して来た私にとって,看護教育というものの本質を見極めることの困難さは,日を追って深まってゆくように思え,自分の力の小さい事,未熟さにとまどい,あせり,大きい力に憧がれ,ひきずられて行く傾向にある事に,ふと気づくことも多い。そこでどんな態度で仕事に対処するべきか,また教育とは……,自分自身に眼をむける必要を感じ,この機会に考えてみたい。そして,今後の心構えにしたいとおもう。
私がうけた3年間の看護教育をふりかえってみると,学校に入学する前に想像し期待していた教師像とは,少なくとも違ったものとして,私自身,わずかながら失望を感じたことをおもいだす。
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