50巻記念企画
診療報酬・介護報酬(法・制度)と作業療法のこの10年
梶原 幸信
1
Yukinobu Kajiwara
1
1伊東市民病院
pp.1204-1210
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200745
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はじめに
OTが所属する医療機関や事業所の多くは,医療保険,介護保険といった社会保障制度の中で定められた施設基準や人員基準,そして報酬額の枠組みの中で運営されている.
日本の社会保障制度は,被用者保険,国民保険,介護保険といった保険料収入と,税金収入等の予算配分が主たる財源となっている.戦後の経済成長期においては,経済発展を最優先する社会背景と,人口増加に伴う保険料収入等の増加もあり,医療と福祉も拡大,充実を目指した見直しが進められた.各制度改定においては,施設整備や人員体制の充実,報酬額増加が進められた.当時のリハは,療法士数が全国的に充足していない状況もあり,急性期の治療後にリハを開始することが多く,長期間の入院や入所をしながら地域生活への復帰,社会参加を目指す流れが一般的であった.1990年代に入ると,経済成長の減速や少子高齢化の将来的課題が明確化し,保険料収入が減少傾向になる一方で,本制度の支出となる年金や医療保険料といった社会保障給付費は急増していった.このように表出してきた課題への対応も視野に,2000年度(平成12年度)には新たな保険料徴収も取り入れた制度として,介護保険制度が導入となった.近年の制度改定においては,医療,介護,福祉にかかわらず,病院や施設からできるだけ短期間で効率的に地域生活に結び付ける体制とともに,在宅生活,社会参加の継続を支援する体制の構築に向けた整備が進められている.
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