特集 国民医療費の再検討
診療報酬支払い制度の改革
吉田 清彦
1
Kiyohiko YOSHIDA
1
1社団法人日本医師会
pp.32-34
発行日 1985年1月1日
Published Date 1985/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208489
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医療費の増高は世界の傾向であり,その原因は医学医術の進歩,医薬品,医療機器の開発といった医療内容の向上と,社会環境の変化,人口の高齢化による慢性疾患の増加,国民の生活水準の向上,医療保険の普及などがあげられる.1970年代後半頃から欧米諸国では医療費抑制策が積極的にとられて来た.欧米諸国に比べれば医療費問題は良好な状況にある我が国でも1980年代になり,従来からの医療コストの抑圧に加えて種々の医療費抑制措置が強くとられ始め,昭和59年10月からは健保本人にも1割の自己負担が課せられたように,制度始まって以来の健康保険法大改正が実施されたわけである.
医療費問題が論議されるとき,まず出て来るのが現物給付,出来高払い制度の罪悪説である.国民医療の諸悪の根源は診療報酬の支払い制度が現物給付,出来高払い制にあるとする意見が支払い側である保険者および行政の一部に強い.
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