オピニオン
診療報酬制度の変革と臨床検査
石出 信正
1
1仙台徳洲会病院
pp.206
発行日 1998年3月1日
Published Date 1998/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903358
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現在,国の主導によって診療報酬の支払い制度が“出来高払い”から“包括支払い方式”に大きく転換しようとしている.いままでにも“包括支払い方式”は主に慢性疾患を対象にして導入されてきたが,今後は“診断群別包括支払い方式(DRG/PPS)”によって急性期を含む入院治療全般に適用され,早ければ数年以内にわが国における主要な支払い制度として実施されようとしている.筆者の病院でも,老人保健施設における診療は“包括支払い方式”であり,筆者自身,両方式の診療に日常携わっている.このような流れの中での臨床検査および技師の役割について私見を述べてみたい.
“出来高払い”では保険適用上の制限はあるものの,原則として実施した検査に診療報酬が支払われる.一方,“包括支払い方式”では疾患ごとに決められた診療報酬が支払われ,検査にかかる費用もその枠内でまかなわれる.支払いの総額が決まっていれば,利益を確保するためには医療にかかるコストを低下させなければならない.したがって,増加し続ける国民総医療費を抑制するのに効果があると国は考えている.この方式のモデルになっている米国でDRG/PPSが総医療費抑制に効果があったかどうかは,なお意見が分かれている.いずれにせよ,“包括支払い方式”では検査のオーダーを出す医師に「その検査がいくらかかるか」が強く意識される.
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