増刊号 実践に役立つ! 生活行為向上マネジメント
第2章 疾患別実践例
11 —精神障害例3—適応障害・学習障害のある方への支援により,カフェでの就労が可能となった事例
渡邉 忠義
1
Tadayoshi Watanabe
1
1特定非営利活動法人アイ・キャン
pp.857-861
発行日 2016年7月20日
Published Date 2016/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200662
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はじめに
国際生活機能分類(ICF:International Classification of Functioning,Disability and Health)に基づくアセスメント,対象者との合意形成に則った目標と行動プランの作成を柱とした生活行為向上マネジメント(以下,MTDLP)は,高齢障害者の介護度の改善や介護予防,健康維持に有効である.2015年(平成27年)4月にMTDLPは,通所リハにおいて生活行為向上リハビリテーション加算として介護保険制度に取り入れられている.
人の“生きる”に焦点を当てた作業療法は,その人の機能や能力,行為や活動の方法,生活するうえでの環境を分析し,その人らしい作業遂行の姿を具体的に「見える化」したMTDLPによって,ようやくその真価が語られはじめている.
一般社団法人日本作業療法士協会(以下,OT協会)が2008年(平成20年)から研究開発を始めたMTDLPは,卒後教育プログラムに組み込まれ,各都道府県作業療法士会で普及活動が始まり,OTの養成教育に携わる教員にも伝えられはじめた.その啓発はOTのみならず,介護支援専門員をはじめとした他職種にも広がっている.OTには,MTDLPの積極的な活用が求められ,事例の積み上げと効果検証,作業療法のブラッシュアップが期待されている.
さらに,MTDLPは高齢者を対象に開発されたが,OT協会では“すべての人に適用できるツール”を目指している.
今回,精神科領域の就労支援に活かせるツールとして,MTDLPの適用の可否を検討する機会を得たので事例を通じ報告する.
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