増刊号 実践に役立つ! 生活行為向上マネジメント
第2章 疾患別実践例
10 —精神障害例2—閉じこもり生活を送る統合失調症患者に訪問支援を導入し,活動・参加を広げられた事例
四本 伸成
1
Nobushige Yotsumoto
1
1藤元病院
pp.851-856
発行日 2016年7月20日
Published Date 2016/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200661
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はじめに:事例紹介
20代,女性.病名は統合失調症,てんかん,軽度知的障害疑い.2人姉妹の次女として出生した.元来は明るく芯が強い性格である.1歳半ごろより突発的に全身痙攣発作があり,X−11年に脳神経外科でてんかんと診断された.発語の遅れもあり,いじめを受けながらも高校まで進学した.X−4年,父親がくも膜下出血で他界.姉も進学で他県に離れ,母親と二人暮らしとなり,そのころよりふさぎ込みがちとなった.X−2年,調理師免許を取得し,高校卒業後に青果店に就職したが,てんかん発作のため自主退職した.その後は「私はてんかんだから働けない」と自宅に引きこもるようになった.X−1年,「そんなこと言わないでよ」等と幻聴と対話したり,奇声,浴槽で寝る等の奇異行動があり,X年Y−9カ月,統合失調症の診断で任意入院となった.約2カ月後に退院したが,徐々に臥床傾向に陥り怠薬となり,X年Y−2カ月,てんかん発作が頻発しはじめた.拒食や拒薬,通院拒否が続き,X年Y月,多職種チームによる訪問支援が週1回導入となり,医療と日常生活の支援のため生活行為向上マネジメント(以下,MTDLP)を実施することになった.簡易精神科評価尺度(以下,BPRS)は61/126点,LASMI評価は日常生活4.6,対人関係3.2,労働・課題2.6,持続性・安定性4,自己認識3.3,田中ビネー式知能検査はIQ 61であった.
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