特集 認知症の方を地域で支える
扉
長倉 寿子
1
,
香山 明美
2
,
長野 敏宏
3
1関西総合リハビリテーション専門学校
2宮城県立精神医療センター
3御荘病院
pp.111
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200474
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特集にあたって
「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」(平成25年度から29年度までの計画),さらに2015年(平成27年)には認知症施策を加速させるための「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)〜認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて〜」が発表され,認知症の方に必要なまちづくりは待ったなしの状況である.「認知症の人の意思が尊重され,できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会」の実現を目指して,どれだけのOTがその専門性を生かした地域展開の意味と可能性を自覚しているだろうか.われわれも新オレンジプランにおける七つの柱を基に,取り組みや課題を検証しながら地域作業療法を推進するべきである.専門職の壁をなくし地域や他職種から学ぶこと,情報に耳を傾け先行モデルに学び,身近なことから実践することが必要である.
本特集では,七つの柱を軸にした認知症の予防方法,リハモデル等の研究開発における介入研究の概説,適切な医療・介護に対する実践事例,地域における認知症の普及・啓発を目指した多様な地域活動を紹介している.共通していることは認知症の方やその家族の視点を大切にしていること,地域固有の課題の中でさまざまな取り組みを展開していることである.必要とされていることとそれぞれの実践があってよいことを知ることによって,各自の役割と新たなつながりに挑戦する機会はみえてくるだろう.軽度認知症の方も重度認知症の方も暮らし続けられる地域の実現に向けて,さらなる地域作業療法を展開していかなければならない.
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