講座 作業療法とコミュニティデザイン・まちづくり・第5回【最終回】
養成校での教育からまちづくりを考える
香山 明美
1
Akemi Kayama
1
1東北文化学園大学
pp.476-480
発行日 2025年5月15日
Published Date 2025/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590050476
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はじめに
筆者は,県立の単科精神科病院に30数年勤務し,急性期から長期在院者の退院支援,デイケア,訪問と,病院の作業療法士として多くの実践をしてきた.
筆者が勤務した病院は1957年(昭和32年)に開院以来,県立病院として地域精神医療を担う役割ももち,多くの医師が県内の保健所や市町村の精神保健に関する相談業務を担ってきた.宮城県内の多くの市町村では,現在の就労支援事業所や居場所等の前身といえる小規模作業所を運営していた.入職して2,3年後,筆者は,ある医師に,「小規模作業所での作業の進め方やメンバーとの付き合い方を指導員にアドバイスしてほしい」と相談され,その活動に同行させてもらった.それ以降,県内のいくつかの市町村の精神保健活動に継続的・断続的に関与する機会を得てきた.
本稿では,筆者の自治体との連携活動の経験を紹介し,この数年取り組んでいる授業「地域作業療法学演習」で実施している「作業療法士が考える地域住民が元気になる事業提案書作り」とその発表会の状況を紹介する.それらの経験を通してみえた,作業療法士がまちづくりに主体的に取り組む意義を考察する.

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