連載 世界のフィールドから 健康づくりはボーダレス・1(新連載)
世界のまちづくり,むらづくり
中村 安秀
1
1東京大学医学部国際地域保健学
pp.348-350
発行日 1999年4月10日
Published Date 1999/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901969
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はじめに
「世界のフィールドから・健康づくりはボーダレス」というタイトルで,1年間のシリーズを行うことになった。いま日本の保健医療の現場で直面している課題やざまざまな試行錯誤は,世界的にみれば決して日本だけの問題ではない。たとえば,市町村移管を軸とした地域保健法の改正は,世界各国で重点的に取り組まれているdecentrarization(地方分権化)の一環であり,また,住民参加による健康づくりはアルマアタ宣言に謳われたプライマリヘルスケア(PHC)の思想そのものである1)。今後の日本の地域保健のあり方を考えるとき,先進国や発展途上国を問わず,日本を含む世界の各地域での取り組みに学びつつ,地球規模でのグローバルな視点からの見直しが必要なのではないだろうか。
私たちはこのような発想に基づき,途上国の都市計画や建築の専門家と地域保健関係者がともに経験を語り議論しあう場として,1998年から「人間居住と地域保健研究会」(Human Settlement and Community Health)を定例的に開催してきた。「人間居住と地域保健研究会」の講師や主要メンバーが,この「健康づくりはボーダレス」に続々と登場してくれる予定である。日常的に語り合う場をもった「学際的」アプローチの成果として,今後の都市の健康問題に現場で取り組んでいる方々の参考になれば幸いである。また,読者からの主体的な参加は大歓迎なので,報告に対する批判はもちろん,もっとすばらしい事例があるといった具体的な情報を編集部までお寄せいただけることを期待している。
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