特集 アイデンティティに迫る—社会的ニーズへの挑戦
—作業療法のアイデンティティ(特性)を活かす:事例②—キングコングはソーシャル飲食業でありたい!—さまざまな立場の人と共に働くことにより耕される企業文化
仲地 宗幸
1
Muneyuki Nakachi
1
1株式会社NSPキングコング
pp.899-901
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200329
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
・価値感と文化の転換
株式会社NSP(以下,当社)が経営するキングコングは,沖縄県の中部に位置する沖縄市泡瀬で20年目を迎える焼肉食べ放題の店で,学生や家族等,地域に愛される老舗である.当社の母体であるナガイ産業は,10年前まで13店舗を構える県内大手の飲食会社として認知されていた.しかし,徐々に経営状況が悪化し,ついには倒産の危機を迎えることになる.それは従来の飲食業における価値観や文化の転換を迫られた瞬間で,今となっては方向転換のよいきっかけになったのだと思う.
当時は,慢性的な人材不足が深刻だったため,少ない人数で業務をどうにかこなすような状態が続いていた.長時間労働はたちまち従業員の不満を生んだ.ホール係は調理場を責め,調理場は仕入担当を責め,管理者を責める.管理者は経営者を責める.こういった他責の文化が浸透していったのである.なんとか状況を打開したい経営者も,どんどん孤立し,さらに従業員との距離が離れていくという悪循環にはまっていった.従業員との関係を改善したい,店の雰囲気をよくしたい,元気を取り戻してほしい,という思いで経営者はさまざまなセミナーに参加し,その解決策を探った.しかし高い料金を払うセミナーに参加しても,社風を変え,店を元気にする方法は学べなかったという.
Copyright © 2015, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.