特集 アイデンティティに迫る—社会的ニーズへの挑戦
—作業療法のアイデンティティ(特性)を活かす:事例③—OTの視点から就労を支援する駅前スクール形式就労移行支援事業
二神 雅一
1
,
宇野 京子
2
Masakazu Futagami
1
,
Kyoko Uno
2
1株式会社ハートスイッチ
2株式会社ハートスイッチ社会参加支援事業部
pp.902-904
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200330
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・就労移行支援事業の概要
就労移行支援事業(以下,就労移行支援)は,障害者の一般就労を目指し,自立を積極的に推進する事業である.特にビジネススキルの習得は,一般就労で求められる大きなニーズであり,この視点を強化した支援活動は注目されている.
就労移行支援では,一般企業への就労・定着という明確な目標に向けて職員配置や加算が制度化されており,OT等の医療・福祉経験者をサービス管理責任者として配置する義務があり,他の職員は,社会福祉士,介護福祉士,精神保健福祉士等で構成される.福祉系職員を一定数以上配置することで「福祉専門職員配置等加算」の算定が可能になる.この配置基準は,各種就労における助成金や奨励金を有効に活用でき,より多くの障害者を一般企業等に就職できるよう促している.障害者総合支援法の中では報酬単価が高い(20名定員:804単位)反面,利用期間が24カ月に限定される中で「就労」という明確な結果が求められる.2014年度(平成26年度)実績によると,全国で30%を超える事業所は就労実績がない状況であり,2015年度(平成27年度)の報酬改定では,就労実績に関する加算要件が拡充される一方で,就労実績がない事業所は基本単価が15〜50%の減算となり,社会保障費の有効活用に向けた実績主義の到来をうかがわせる.このように事業実績が評価されることは,一部では参入障壁となり得るものの,「就労」=目標達成というわかりやすさでいえば,目標達成に向けたプログラム立案とダイレクトアプローチはOTの得意とするところであり,その専門性に期待したいところである.
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