特集 アイデンティティに迫る—社会的ニーズへの挑戦
—作業療法のアイデンティティ(特性)を活かす:事例④—農・福・リハ連携 社会参加推進モデル
二神 雅一
1,2,3
,
山田 浩貴
1,2,3
Masakazu Futagami
1,2,3
,
Hiroki Yamada
1,2,3
1株式会社創心會
2農業生産法人 合同会社ど根性ファーム
3NPO法人 未来想造舎和ー久
pp.905-909
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200331
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・事業概要と経緯
本事業は,ICFの考えにおける「心身機能」,「活動」,「参加」へのアプローチを,リハ理念・理論に基づき,農業および取り巻く環境を利用して行うことで,特に地域社会の中での居場所や役割づくりを目的としたものである.
筆者(二神)は株式会社創心會で介護事業を展開してきたが,リハ(機能訓練)特化型のデイサービスを標榜すれば必然的に壮年期の利用者が増え,参加の視点での目標の一つに復職ということも視野に入れなければならない.ところが,元の職場に復帰できるケースはそう多くない.他方,工夫次第では生産的活動に従事できるまでに回復される方も多い.全国で爆発的に増加したリハ特化型デイサービスであるが,こうした方々に対してもリハと称して延々とサービスを継続しているのではないかと問題視され,介護報酬改定の議論においても度々指摘されることとなったことはすでにご案内の通りである.しかし,介護保険事業では,制度特性から自主独立的に社会参加に向けたダイナミクスや,役割を認識した社会活動に発展させるようなインセンティブが働きにくいという根幹的問題が存在することも,以前から指摘されたまま課題として残されていることを付記しておく.また,社会的インフラとして生活機能が改善した後の次のステージ(居場所)が圧倒的に不足しているのが現状である.
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