増刊号 認知症と作業療法
第1章 認知症とは
3 認知症の疫学
朝田 隆
1
Asada Takashi
1
1東京医科歯科大学医学部
pp.564-567
発行日 2015年6月20日
Published Date 2015/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200254
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はじめに
急速に高齢化が進むのは日本ばかりではない.たとえば中国ではわが国をはるかに凌ぐ勢いで高齢化が進み,現在12%程度の認知症の有病率が10年後には20%になると予想されている.この中国のみならず,韓国,インド等,アジア全域において高齢化,その先にある認知症人口の増大が大問題になってくる.高齢化が先行した欧米でもこの認知症問題は避けて通れない.
このように世界規模で高齢化・長寿化が進行しつつある今日,認知症への対応は単に医療の問題ではなく,各国の政策決定の基本問題になっている.2014年(平成26年)11月には日本で,G7認知症サミット日本後継イベントが開催され,わが国からは認知症の予防とケアを中心に新たな取り組みや知見が発信された.
このような認知症に関する政策医療計画策定の基盤となるのが,患者数や有病率等の疫学である.本稿ではこの認知症の疫学について,若年性と晩発性に分けて患者数と今後の動向等を述べる.
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