増刊号 認知症と作業療法
第1章 認知症とは
2 認知症施策を巡る動向について
水谷 忠由
1
Tadayuki Mizutani
1
1厚生労働省 老健局認知症・虐待防止対策推進室
pp.558-563
発行日 2015年6月20日
Published Date 2015/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200253
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はじめに
わが国では,今や65歳以上の高齢者の約4人に1人が認知症の方,またはその予備群とされています.高齢化の進展により今後も増加が見込まれる中,認知症の方が住み慣れた地域で安心して暮らせる社会の構築は,今や世界共通の課題となっています.2013年12月に英国でG8認知症サミットが開催され,その後,国際的な枠組みで認知症施策を推進することを目的に,各国が持ち回りで後継イベントを開催してきました.2014年6月に英国,9月にカナダ・フランス,11月に日本,2015年2月に米国でそれぞれ後継イベントが開催され,3月には世界保健機関(World Health Organization:WHO)で認知症に対する世界的アクションに関する第1回WHO大臣級会合が開催され,中低所得国も含めてさらに国際的な「アクションの呼びかけ」が行われました.
2014年(平成26年)11月の認知症サミット日本後継イベントは,「新しいケアと予防のモデル」というテーマで,10を超える国から300を超える方々が集まって開催されました.その2日目の開会式で,安倍内閣総理大臣から「わが国の認知症施策を加速するための新たな戦略を策定するよう」塩崎恭久厚生労働大臣に対して指示がありました.これを受けて2015年(平成27年)1月に策定されたのが,「認知症施策推進総合戦略〜認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて〜」(新オレンジプラン)です.本稿においては,この新たな総合戦略の医療・介護関係を中心に,認知症施策を巡る動向について概観することとします.
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