連載 作業療法研究と社会学・障害学【最終回】
作業療法研究に社会学の視点を活かす
佐川 佳南枝
1
,
田島 明子
2
,
朝日 まどか
3
Kanae Sagawa
1
,
Akiko Tajima
2
,
Madoka Asahi
3
1熊本保健科学大学
2聖隷クリストファー大学
3北海道医療大学
pp.51-55
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200104
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本稿で示す社会学とは?
連載第1回で田島1)が,社会学とはどのような学問かという問いに対し,「あたり前を疑う学問である」と述べた.この点については後に触れることとして,社会学とは何かと問われれば,「個人と社会」を主題とした学問であると答えることができるであろう.つまり人と社会,人と人との相互作用に注目していく学問である.
しかしこれまで社会学は,どちらかというと個人と個人の相互作用というよりも,むしろ個人の問題から社会を問う,個人と社会の関係性を問う視点に焦点が当てられてきた.通常,プライベートなトラブルとしてとらえられ,私的に処理される問題が社会の制度や圧力という社会的な問題とつながっていること,「われわれ自身の身近な現実を,全体の社会的現実とのつながりの中で理解すること」を,米国の社会学者Mills2)は「社会学的想像力」と呼び,社会学者の必須の資質であるとした.一見,私たちが自由に選びとっているように思われる行動も,実は社会の目に見えない力に従っているのだということを明らかにすることが社会学の役割であると考えられてきたのである.
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