増刊号 脳卒中の作業療法―支援技術から他職種連携・制度の利用まで
第2章 支援技術Ⅰ 急性期から回復期の基礎
5 基本動作の支援 ⑤トイレ動作
朝倉 直之
1
Naoyuki Asakura
1
1医療法人社団輝生会 初台リハビリテーション病院
pp.633-638
発行日 2014年6月20日
Published Date 2014/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100551
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はじめに
排泄行為は,回復期リハ病棟,在宅において自立を求められることが多く,対象者・ご家族のニーズとして非常に高いセルフケアの一つである.
全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会のケア10項目宣言に「排泄はトイレへ誘導し,オムツは極力使用しないようにしよう」とある.このように回復期リハ病棟では,まず起居から排泄までの一連動作をOT,ケアスタッフ間の共通目標として掲げることが多い.早期に排泄行為のアプローチを展開することにより,運動量確保,自立範囲の拡大,寝たきり防止,精神賦活,身体機能・日常生活動作の向上につながる.排泄行為は1日を通して,われわれが最もかかわることの多いセルフケアであり,頻度が高いがゆえに,幅広い視点と正しい介助方法・リスク管理が求められる.そのうえ,排泄行為は羞恥心を伴うため,介入する際は,いかに「人間の尊厳」を保障できるかが重要となる.
今回は,当院(初台リハビリテーション病院)の排泄行為に関するケアの取り組み,作業療法アプローチを紹介するとともに,われわれOTが脳卒中患者に対し排泄行為に介入するうえで,必要な排泄行為の動作過程を理解し,正しいリスク管理を考え,現実的な介護力・労働力,環境整備等,多角的な視点からアプローチを展開していくことの重要性を伝えたい.
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