増刊号 脳卒中の作業療法―支援技術から他職種連携・制度の利用まで
第2章 支援技術Ⅰ 急性期から回復期の基礎
5 基本動作の支援 ④更衣・整容
佐近 隆二
1
Ryuji Sakon
1
1特定医療法人祥和会 脳神経センター 大田記念病院
pp.627-632
発行日 2014年6月20日
Published Date 2014/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100550
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はじめに
元来,更衣・整容の諸動作は,身づくろい(図1)1)としての意味をもっている.身づくろいを行う意味は広い.『広辞苑第六版』によると身づくろいは,「身なりを整えること.みごしらえ.みじたく」である.ヒトは身づくろいによって,自己の身体の清潔を保ち,メンテナンスを行い,身体の保護を行う.つまり,身づくろいを適切に行うことで,ヒトは安全性や快適さを獲得し,生存し続けることができるのである.また,身づくろいは社会参加を促進する役割をもつ.ヒトは身だしなみを整え,好みに応じた化粧や整髪,衣装を身に着けて自己演出を図ることで,社会に出る気分を促進し,円滑で良好なコミュニケーションをとるができるのである.このように,ヒトにとって,身づくろいとしての更衣・整容の諸動作は,生存から社会参加まで幅広く重要な意味をもつ.したがって,OTが片麻痺者の更衣動作・整容動作の再建にかかわる意味は非常に大きいと言える.
本稿では更衣動作・整容動作の特性や片麻痺者における更衣動作・整容動作の問題について再確認し,片麻痺者における治療的介入のポイントについて紹介する.
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