特集 OTの臨床実践に役立つ理論と技術―概念から各種応用まで
第7章:さまざまな疾患に適用となるもの
2.芸術療法―創る表す活動と療法
山根 寛
1
1京都大学大学院
pp.809-814
発行日 2013年6月20日
Published Date 2013/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100199
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はじめに
芸術療法は,各種の芸術活動を通じて病気を治療する方法の総称であるが,英語では絵画療法,芸術療法ともにart therapyと称される.これはart therapyの中核となるものが絵画であることからきている.そのため狭義には,芸術療法は絵画療法を指して用いられてきたが,近年は広義に,さまざまな造形活動,音楽活動,文芸活動,言語表現活動,身体表現活動等が用いられるようになった(図1).
作業療法でもさまざまな活動の一つとして芸術活動を用いるが,作業療法で治療・援助の媒介として用いる芸術活動の用い方と芸術療法における用い方は同じなのだろうか.芸術療法そのものもどのような活動を用いるか,活動の種類や用い方などによっても分類が異なり,用いられる対象や目的,用いる職種も決まってはいない.
芸術活動がいつから療法の手段として用いられるようになったのか,どのような用い方がされているのか,芸術療法の成立過程と変遷,適用対象と疾患や障害,効用と限界等を概観し,作業療法で用いる場合の留意点等を紹介する.
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