ナースの作文
“至上の芸術”—看護は芸術かを読んで,他
早石 ちづる
1
1京都逓信病院
pp.56-58
発行日 1958年10月15日
Published Date 1958/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910716
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5月号で,療養所の会田先生が「看護は芸術か」という文を寄せられているのを知つてこのなつかしい言葉をもう一度考え直してみる気になつた。「看護は科学であり,芸術であり,職業である」という言葉は新らしく教育を受けた看護婦なら必らず何度か耳にしているはずである。もちろん何らかの説明をその時に受けているに違いない。だが,私自身それほど納得のゆく説明を受けた記憶もなく教室ではそれについての質問も別に出なかつたように思う。
看護の要素をなす大きな3つのものは,精神,知識,技術である。そしてこれら互の関係が相和したところに理想的な看護があり,奉仕の精神を根底に科学的な知識と熟練した技術がそこになければならない。こうした看護を更に方向をかえて3つの場からながめた時に「看護は科学であり,芸術であり,職業である」というのである。この3つの方向のうち,芸術というところにスポツトがあてられ会田先生は最初,看護をあまりにも美化しすぎた,自己満足的なそして不調和な感じのする表現ではないだろうかと,疑問を持たれたようである。看護の道を歩む者は別として,一般に,芸術という言葉から受ける印象では確かになかなか理解に苦しむ言葉である。
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