連載 新しいリハビリテーションの取り組み紹介
認知症に対する芸術療法
澤田 雄二
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1名古屋大学医学部保健学科作業療法専攻
キーワード:
作業療法
,
創作活動
,
認知症
,
塗り絵
Keyword:
作業療法
,
創作活動
,
認知症
,
塗り絵
pp.1008-1009
発行日 2011年10月10日
Published Date 2011/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102249
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認知症患者数が2020年には250万人とも推定されている高齢社会を迎えたわが国において,認知症に対する予防や治療は重要な問題である.薬物療法による根治的な治療が待たれるが,現在では限界がある.このような状況のなかで,疾患と障害を管理しながら,望ましい状態でいかに生活を過ごすか〔QOL(quality of life)の確保〕を目的とし,介護負担などを軽減する非薬物療法が注目されている.
芸術療法とは芸術活動を通して症状の悪化を予防し,心身の安定を図る治療法と考えられている.具体的な創作活動としては,音楽,絵画などが代表的なものとして挙げられる.作業療法として芸術活動を行う場合,芸術的な表現を促すということよりは,作品の完成過程を通して,患者の機能を維持,改善を促すことに着目している.したがって,創作活動を達成するためにどのような機能を必要としているか,完成までの過程でその機能がどのように働くかを分析し,患者の問題点や能力に合わせた創作活動を選択することになる.認知症を伴った高齢者が行えることは限られていることから,比較的とりかかりやすく,でき映えもよいものになりやすい創作活動が多く用いられる.ここでは,塗り絵を用いた創作活動について,実践例も含めて紹介していきたい.
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