内視鏡外科手術に必要な解剖と術野の展開・3
胃(幽門側切除)
白石 憲男
1
,
安田 一弘
1
,
猪股 雅史
1
,
安達 洋祐
1
,
北野 正剛
1
1大分医科大学第1外科
pp.277-280
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426900237
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はじめに
腹腔鏡下手術は,低侵襲性や早期社会復帰を利点として1980年後半から爆発的に流行してきた.その手術の特徴はモニター下の鉗子操作であり,術者の目としての腹腔鏡操作や従来の手術とは異なった術野展開など,助手の役割も大きい.
胃癌に対する腹腔鏡下手術は,1991年に開発された腹腔鏡補助下幽門側胃切除術(LADG)1)に始まり,そののち腹腔鏡鏡下襖状切除術2)や腹腔鏡下胃内粘膜切除術3)などが開発されてきた.近年,内視鏡下粘膜切除(EMR)の適応拡大につれ,腹腔鏡下局所切除でなくD1+αのリンパ節郭清を有するLADGが普及してきた.LADGは,腹腔鏡下に大網,小網,主要血管の切離を行い,胃を授動したのち小開腹創から胃を体外に引き出して幽門側胃切除,Billroth-I法による再建を行うものである.手順は通常の開腹手術に準じて行われるが,腹腔鏡下操作はモニター下での長い鉗子を用いての操作のために視野展開の工夫が必要となる.本稿では,より安全にLADGを行うための視野展開の工夫と注意点について述べたい.
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