手術テクニック
経後腹膜的アプローチ法
馬場 志郎
1
1慶應義塾大学医学部泌尿器科
pp.150-152
発行日 1998年4月15日
Published Date 1998/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4425900191
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経後腹膜的アプローチ法とは,腹腔を経由せずに後腹膜臓器に内視鏡的に到達する方法である.特に副腎や腎,あるいはそのほかの上部尿路臓器への内視鏡下手術に適している1-6).また,開腹手術により腹壁前面に腸管の癒着が予想される症例でも,このアプローチ法により結腸の近傍の壁側腹膜を切開して剥離手術を行うことも可能である.また,上行,下行結腸切除でも結腸後面を安全に剥離することができる7).
元来,後腹膜腔(retroperitoneum)とは腹膜の背面に存在する脂肪組織で充満された閉鎖腔領域で,本来の体腔ではない.したがって,後腹膜鏡下手術を可能とするには人工的に操作腔を形成する必要がある.しかし後腹膜気腹のみでは,微小な動静脈が格子状に走行している後腹膜脂肪組織内で有効な操作腔を得ることができない.Gaurにより報告されたバルーン拡張法1)は,十分に広い操作腔を効率よくかつ安全に剥離,作成することができ,この操作腔を後腹膜気腹により展開することは容易である.
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